『ビルタイプ』の賃貸オフィス物件の審査が通らない理由と審査基準

ビルタイプのオフィスを賃貸するケースにおいては、申込後オーナー審査があります。この審査を通ることで物件を借りることができるのです。逆に、審査に通らないと借りることができません。では、どのようなケースで審査落ちをするのでしょうか。

オーナーがどのような点を中心に審査を行っているのか、審査が通らない場合はどのような理由からか、またその対応策について解説していきます。

目次

賃貸オフィスの審査が通らない理由と対応策

反社チェックに引っかかっている

多くのオーナーの与信担当者はまず会社名と代表者名でウェブで検索をします。会社のホームページも見ますが、怪しい書き込みがされていないかをチェックします。

詐欺などの疑いはないか、代表者に犯罪歴はないかを確認していくためです。

次に、半分くらいのオーナーがしていると予想していますが、日経テレコンや与信プログラムを活用した与信確認を行います。会社名や役員名をいれると、検索にあたることがあります。

対応策

自身の社名と代表者名は、事前にWebで検索しておくと良いです。同一同名の企業名や代表者名で、詐欺の疑いや犯罪歴のある方の記載があり、自身でないことが分かっていれば、事前に伝えることができます。

与信調査会社の点数が低い

オフィスビルオーナーが使う与信調査会社で、最も利用者が多いのが帝国データバンクです。次が、東京商工リサーチです。外資系企業はダンレポートを使う会社が多いです。

一定規模以上のビルオーナーはいずれかを必ず利用しており、出資関係にあるなどの例外を除いて、ほぼ確実に上記の点数が審査の最重要要素となります。50点前後が一定のラインになっており、それを切っていると審査に落ちる可能性はぐっと上がります。

対応策

与信調査会社の点数についてはあげるしかないのですが、その点数がどうついているのかをまず理解することが必要です。

一例ですが、帝国データバンクは、https://www.tdb.co.jp/lineup/hyoten.html のとおり、7つの要素を点数化しています。点数は業績や社歴だけではなく、上記URLにも記載がある通り、情報公開の度合いで点数が変わることがあります。

できるだけ財務状況は非公開にしたいなど、状況によっては公開できないこともあることは理解できますが、信用調査会社のインタビューを受けない、もしくはほとんど情報を開示できないような場合には、評点が低くなってしまうことがあります。評点は様々な取引の中で使われており、賃貸契約以外でも使われている場合がありますので、企業評価を下げないために、正確な情報を提供することをおすすめします。

定期的にインタビューを受け透明性のある情報公開に努めることで、オーナー審査が通ることにつながりますので、とりわけ社歴が浅い会社の方はできるだけインタビューに対応すると良いと言えます。

開業からの期間が短い

多くのビルの審査で、二期もしくは三期分の決算書の提出を求められます。開業して3年目を迎えていなければ決算書が足らなくなります。書類がそろわないと審査に回してもらえない可能性があります。

対応策

それを補うための資料を用意しましょう。事業を行った期間での決算書類や、現在の資金状況が分かる書類を作ることで、審査に進めてもらうことができる可能性が上がります。また、企業としての与信ではなく、個人の与信で審査が行われる可能性もありますので、前職でしっかりとした経験を略歴書のような形で提出すことも審査

新しすぎる業種

与信は実績の評価であるので、新しすぎる業態の企業についてはまだ評価ができない為、厳しめの取扱いを受けることがあります。

具体的には、宇宙開発とか仮想通貨など、評価がこれからの企業にとっては与信審査はハードルが高いのです。

対応策

事業計画・資金計画が分かるような資料を準備し、必要であれば自身で説明の機会を持たしてもらうことが有効に働く場合があります。自分たちの企業について理解をしやすい会社概要やその他資料を添付し、役員の略歴書などを添付すると良い場合があります。

資本金が少ない

賃貸オフィスの審査が通らない理由としては会社の資本金が少ないということが挙げられます。資本金が1000万円を切る場合は、審査が著しく厳しくなることがあります。

対応策

資本金の金額にこだわりがなく、資金余力がある場合は、増資の手続きをしておくと良いです。資本金とキャッシュの金額は違うことは分かっていても、なんとなくの感覚で区切られてしまうことがありますので注意が必要です。

個人の収入が基準を満たしていない

20-30坪くらいのオフィスビルや店舗の審査には、代表の年収の記載もしくは、連帯保証人として代表者を指定して、その代表者の年収の記載を求められることがあります。すでに資産をある程度持っていたりすると、役員報酬を取っていないという場合があります。その場合、年収の欄に0円と記載することがあります。ただ、0円と記載すると、それだけで審査が通らないということが起きます。

対応策

報酬が低い理由を付則することをおすすめします。必要ないからというのも理由になります。一般的な住宅系の賃料の基準は手取り年収が家賃の36倍程度と言われています。30万くらいの物件を借りようと思うと、少なくとも1000万を切ると審査に通らない可能性が高いので気を付けてください。

債務超過である

会社の財務状況が債務超過に近い、または債務超過の場合、オフィス賃貸の審査はかなり厳しくなります。

対応策

追加出資を受ける契約があるなどの状況の場合はしっかり説明をすることで、審査が進むことがあります。会社がM&Aで経営権が他社にうつるなど、債務超過の場合良くある話だともいます。なかなか事前に話すことが難しい状況はあると思いますが、NDAを結び状況を伝えることで、審査が進むことがあります。

条件交渉がオーナーの想定を超えた

できるだけ安く借りたいからという理由で、申込だからと思い極端に安い金額を書いたり、フリーレントを長く書いてしまうと、オーナーの心証を悪くして、企業審査より前に判断をされてしまうことがあります。

対応策

事前に相談可能な範囲と不可能なラインについては、相談をしておくことをおすすめします。一度、審査に落ちると、2度目の審査にのせてもらえないことのほうが多いので注意が必要です。

ビルに同業種が入っている

オフィスであるとあまり起きませんが、同じビルに小学生向け学習塾が2つ入っているというのはあまり見かけません。同業種1テナントのルールは多くのビルで見かけます。飲食の場合はあまり気にしませんが、塾やクリニックなどでは1ビル内に同じ業種が入ることがかなりまれなケースです。

対応策

類似する業種の類似の度合いを説明することで、入居できることがあります。例えば、個人指導か集団指導かや、総合的な学習塾か、特定の大学に絞った学習塾かなど、他テナントへの配慮から似たテナントを避けているだけなので、実際には今入っているテナントの同意が取れればオーナーとしても問題はないと言えます。

審査に通らなかったら

審査に落ちた後に、再度同じ物件で別の不動産屋さんでチャレンジするという方がまれにいますが、ほとんどの場合同じ結果になります。また、審査に落ちた理由を教えてほしいといっても、貸主や不動産会社はその理由を教えてくれることはまずありません。

とはいえ、不動産仲介業者であれば察しはつくことは多いと思います。逆に、察しがついていない仲介業者であれば変えた方が良いかもしれません。

入居希望者に申込書を書いてもらって、そのまま何も気にせずにオーナーに渡すだけという仲介業者もいますので、自分たちの代理人としてふさわしい仲介業者を見つけるか、手間は増えますが自ら話をする方が良いと判断するのも一つの方法ではあると思います。

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