賃貸物件の申込をするときに気をつけたいこと

目次

事業用の賃貸物件の申し込みとは?キャンセルはできる?

賃貸のオフィスや店舗を借りようとするとき、賃貸住宅と同様に最初に「入居申込書」の提出を求められるのが一般的です。入居申込書という名前ではなく、検討依頼書と記載がある場合もあります。 では、その申込書(検討依頼書)にはどのような意味があるのでしょうか。また、申し込み時に注意すべきこととは具体的に何なのでしょうか。 賃貸住宅とは異なる部分もありますので、オフィスや店舗の入居申し込み全般について説明していきます。 入居申し込みとは、「この物件を借りたい」という意思表示といえます。 なお、入居申し込みをしたとしても、その申し込みが一番手の申込になるか、優先的な取扱いがされるかは分かりませんので、申込時に確認をすることをおすすめします。 申込書が提出されると、申し込み時に提出した入居申込書と提出資料を利用して審査が行われれることになります。 入居申込書に記入する内容については一般的に、

1物件の概要
2賃貸条件
3契約希望日・契約期間・利用開始日
4用途
5会社名・申込人の概要
6連帯保証人
7保証会社
8その他の希望条件
を記載します。また、審査に必要となる、その会社の概要が分かる資料の提出を求められることがあります。万が一、申込書に不備があれば審査に通らなくなる可能性もあるので、正確に記載していくようにしましょう。

内見時に確認を済ませておきたいこと

採寸&レイアウト 設備の確認
申込をした後に、レイアウトなどの採寸を入れると実は思ったレイアウトが取れなかったなどの状態が発生することがあります。 申込は借りる意思表示なので、申込を出す前にできるだけ事前の物件の確認をしておきましょう。
特に、

その用途での利用は可能か
広さの確認
設備は整っているか。後から設置可能か。

は重要です。例えば、クリニックで開業したいと思っているときに、契約後クリニック利用ができないことが分かったということが起きたとしても、契約の無効は主張できません。 申込前に専門の内装会社や開業支援会社などに用途の確認を行い、できれば建築指導課などの確認を取っておくことが必要です。

広さについても、記載のある面積は、どこまで含んでいるのかは各オーナー毎でまちまちなので、現地の採寸をとってレイアウトを引いておくことができると良いと思います。

また、追加できる設備は良いですが、追加もしくは変更できない設備で、業務上必須のものがあると、契約後トラブルになる可能性があります。 よくあるのは、マンションタイプの光ファイバーがVPNを構築できないとか、通信系の配管が細く思っている回線が通らないや、オフィス物件をクリニックなどで利用しようとするときに、給排水が取れないなとです。

賃貸不動産は、図面などではなく、現状有姿とよばれる、今そこにあるものを前提として契約となりますので、現地をしっかり確認するようにしましょう。

相談事項は申し込み前にすることがおすすめ

申込書の使用目的に、見慣れない文字列が並ぶと、オーナーとしてはどんな利用用途なのか不安になるものです。 最初から説明しておけば理解ができるものも、一度先入観が生まれるとなかなか取り払うことは難しいものです。 特に、音・におい・混雑が発生する業種はビルによっては、受け入れが難しいこともあります。

たとえば、スポーツジムというと、人の出入りが頻繁で、水や時に声も大きいのではないかと思われる可能性があります。 そういうスポーツジムの場合はそう伝えなければいけませんが、個人レッスンのヨガの場合、人の出入りもほとんどなく、一般的な事務所より圧倒的に静かです。

伝え方によって審査が通る場合、通らない場合があります。 できれば1店舗目があるのであれば、貸主の方に安心してもらえることができます。

なお、賃料や敷金礼金の値下げや、入居日など、交渉したいことがあれば申し込み前に相談することも大切です。 申込後の調整は印象も悪くなりますし、審査のやり直しや、一旦保留して別の検討者の申込を優先することもあります。

設立の若い会社の場合

入居審査でよくあるのは、2期分の決算書を提出を求められるケースです。 2期終わっていない場合審査資料が不足します。 また、1期も終わっていない場合決算書がないという場合もあると思います。

その場合、創業代表の履歴書や事業計画書の提出を求められる場合があります。 特に、設立間もない企業の場合、審査の問題は常に付きまといます。 詳しくは、オーナー審査の方法で記載します。

申込書記載の注意事項

申込書の記載は非常に簡単です。

1物件の概要
2賃貸条件
3契約希望日・契約期間・利用開始日
4用途
5会社名・申込人の概要
6連帯保証人
7保証会社
8その他の希望条件
を埋めていけば完成します。 一番大切なことは借りる意思があるかということです。 次に、どのような条件なら借りるかということです。 設備やレイアウトは確認済みであるという前提で、審査さえ通れば、契約をするという意思がある場合に申し込みを出すようにしましょう。 申込はキャンセルは可能ではありますが、再度申込を出したとして心象も良くありません。 しかしながら、申込後キャンセルをする可能性があるという申し込みを出す場合があります。 例えば、認可のような公的な確認が必要な場合などで、その実施が不確定な場合などに、先に事情を説明したうえで、その他欄に、これこれこういう事情の場合に借りたい、もしくは、これこれこういう事情の場合に借りることができないなど、と記載したりします。

申し込み受諾後の注意点

なお、申込キャンセルは契約前なので、当然になにも損害賠償が存在しないという方がいますが、そうではありません。 賃貸借契約がいまだ成立していなくても、一定の場合には、「契約締結上の過失」として、契約を破棄した一方当事者が、他方に対し、信義則上の損害賠償責任を負う場合があります。 これは、契約締結交渉が相当に進み、当事者間で契約成立に向けての強い期待が生じ、それが客観的にも相当と言えるような場合であれば、契約当事者の一方は相手方に対し、信義則上、「その期待を故なく侵害するように行動する義務」が生じ、当該義務に違反した場合には、「信義則上の注意義務に違反した」として、損害賠償責任が発生するというものです。

申込書や検討依頼書には、申込の意思確認と同時に、損害賠償の記載が存在するものもありますので、申込書を出す場合、書面の内容をきちんと確認し、相当の状況がなければ借りるということを前提にしているということを忘れないようにしておかなければいけません。

申し込み後により条件の良い物件が見つかった?

万が一、申し込み後により良い条件の物件が見つかった場合、どのようにすれば良いのでしょうか。 基本的には、契約前であれば、キャンセルは可能です。 ただし、上記にも記載したように、非常に例外的ではありますが、契約の着手と見なされるような場合においては、相応の損害賠償に至る可能性もありますのでご注意ください。

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