オフィス移転を成功に導く3つの要素

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オフィスは何のために存在するのか。コロナによりリモートワークも急速に普及する中で、オフィスが働く場で、家はプライベートな場という、明確な境はなくなりました。在宅での仕事、移動しながらのサテライトオフィスの活用、ヘッドオフィスへの出社、働くすべての場所がオフィスと呼ぶなら、通信環境が通じる場所なら、世界中どこでもオフィスになる世の中になっています。

メディアでも良く取り上げられている議論ですが、オフィスに社員を戻したい経営者、オフィスに戻りたくない社員という構図の記事をよく見かけます。さて、この議論の核心はどこにあるのでしょうか。

顧客の為に生産性高く業務を行う、この一点について言えば、オフィスに社員を戻したい経営者も、オフィスに戻りたくない社員にも、お互いに合理的な理由があります。結局は、どこで働くか、どのように働くかは、経営者と社員で討議し、最後は顧客の為に何かを作り出すためにはどのような場が必要で、ふさわしいかを考えていく必要があります。

オフィスは家であっても、出勤するオフィスであっても、生産をする場という本質的な機能は変わりません。我々は何かを作り顧客に届けています。その生産の場が何でもいいということは絶対におきないでしょう。

経営者は全体最適を考え、社員は部分最適を考えていることも多く、最終的には経営者が会社をどのような方向性で運営していくかの中で、オフィスについてもどのような形にするかを決定していかなくてはなりません。

では、生産性を上げるための場の選び方において、我々が大切にしていることが3点あります。

だいたい条件が決まっている場合の「オフィスの探し方」3ステップ

  • STEP 1
    オフィス移転・レイアウト変更の目的を明確にする
  • STEP 2
    実現可能なスケジュールを設定する
  • STEP 3
    移転の全体像を把握し、マネージする
この3つのポイントをしっかり押さえていれば、少なくとも大きなトラブルは避けることができます。次のセンテンスではオフィス移転やレイアウト変更の目的を明確にすることから見ていきましょう。

1 移転・レイアウト変更の目的を明確にする

オフィスを変化させることで、生産性を上げることができるか。

オフィス移転もしくはオフィスのレイアウト変更、分室やサテライトオフィスの検討を開始したということは、何かしら現在のオフィスでは解決できない経営問題が発生している、あるいは近い将来発生することが予想されている状態ということでしょう。

多くの場合、問題の発見は働く社員が最も早く気が付くものの、経営者もしくは営業マネージャー、人事担当者、総務責任者、CFOと呼ばれる、現場を管理監督する経営層にしか、この「問題」は解決できません。それは、オフィスの環境を整備する専任の担当者が殆どの会社にはいないからです。働く場は生産をする場であり、成果に大きな影響を及ぼす大きな要因であるにもかかわらず、後回しになりがちというのはよくある話です。

では、その問題はどのようなものがあるのか見ていきましょう。

売上の増減 人員増減に伴う、必要な面積の増減から
建物の不満 居住性、設備、周辺環境など、建物固有の不満、問題から
契約の不満 賃貸条件への不満や、契約更新などから
事業所増設 経営意思決定により、新規に事務所が必要となるから
感染症対策ならびに働き方改革などによる、働く場所のモデルチェンジ

オフィスもしくは働く場所の生産性を上げるため、もしくは下げない為には、まずはこの「問題」をあらためて経営者の視点で整理してみることが必要です。

上記の問題=課題は、恒常的なものか、より問題が大きくなるか、その問題はより小さくなり無視できるものとなるか、など、現在のオフィスで対応が可能なものか、次のオフィスで対応ができる期間の想定はどのくらいかなど、想定しておかなければ、再度のオフィスの変更を迫られる可能性が高まります。

オフィス環境や働き方のあり方については、企業のそれぞれのポリシーが大きく影響し、その会社の数だけ課題と正解がありますが、似た業種・似た規模の会社のオフィスは非常に参考になります。

成功している会社はオフィスや働く場に対する考え方にもこだわっているというケースが多いので、他社のケースを知ることも、自身のオフィスの作り方にも重要なヒントとなることでしょう。

デザイン面だけでなく、働くメンバーのコミュニケーションや生産性向上のための工夫が、どのオフィスにもあります。なかなか、他社のオフィスを覗くということは難しいかもしれませんが、知り合いの経営者に話を聞くことや、現地を見に行ってみるというのは勉強になります。

また、他社の事例を見ること、自社の本質的な問題を考えるなかで、オフィスに対する現在抱いている課題ではない、別の課題に気が付くかもしれません。

オフィスの形は、テクノロジーの発達により、新しいスタイルを生み出しています。問題の解決方法は、オフィス移転だけでしょうか。今一度、オフィスの在り方とオフィス移転の目的をしっかり考えることで、より良いオフィスでの働きができるようになります。

2 実現可能なスケジュールを設定する

オフィス移転やレイアウト変更の目的が明確になったら、そのオフィスの状態にするスケジュールもある程度明確になっていることでしょう。

そのスケジュールは不可能なものになっていないでしょうか。オフィスとしてスタートできる要件によりますが、電話・ネットワークだけでも、今日用意できるものと、1か月程度かかるものがあります。

メーカー家具の多くは受注生産となっており、発注から納品まで2か月かかるものも少なくありません。また、オフィスのレイアウト変更だからとビル側の確認がとられていないと、平日の工事は不可と工事中にもかかわらず、中止を求められることもあります。ビルは共用の利用物であるということを理解して、事前に工事確認の書類を提出するようにしましょう。

現在のオフィスの解約予告から原状回復工事までの日程と、次オフィスの入居工事完了をしっかり調整しないと、オフィス移転ができない、さらに現オフィスの退去が約束の期限に間に合わないということも起きる可能性があります。

最短でいえば、今日内見し、SOHOやシェアオフィスの審査であれば、当日審査が通るものもあり、翌日から業務が開始できることもあります。

オフィスは多くのメンバーが共同して働く場で、ただそこにスペースさえあればいいというものではありません。多くの場合、複数のメンバーがそこで生産をし、顧客に何かしらの価値を提供しています。もし、オフィス十分に機能しなければ、顧客への約束を満たせないかもしれません。

大きさや求める要件で期間が大きく変わります。働く場所というとどこでも変わらないと思うかたもいるかもしれませんが、工場もロボットによる生産など進化しているようにオフィスも生産の場であるのは変わらず、進化を求められていると思います。

オフィスの大小は関係ありません。必要な装備が最も使いやすく配置されていることで、仕事は効率的に行われるはずです。

そのような理由から、20-30坪のオフィスを構えるとしても、1-2か月、数十坪~数百坪のオフィスとなると少なくとも半年前にはある程度の目安となるスケジュールを立てておかなければなりません。考えられたオフィスを計画通り仕上げるのは、大きな失敗が許されない投資なのです。

ぎりぎりのスケジュールで家具や内装のスケジュール・通信の手配をするとで、ぼろぼろと見落としや、思った納期で納品がされず、移転日に椅子がないといったことにならないように、余裕を持った計画をできるだけたてたいところです。

慎重になるがために時間がかかりすぎることで、また顧客へのサービスを提供できなくなってしまわないように、スピーディーにかつ、効率的にスケジュールに落とし込みたいところです。

3 オフィスをプロジェクトとして捉え、マネージする

オフィス移転やレイアウトの変更をする場合、何をするかを決めスケジュールした時、『だれ』がするかというのは非常に重要です。オフィス移転は、通常業務にプラスしてやってくるからです。経営者や担当者が一人で成し遂げられることではありません。また、社外の力を借りたとして、社内の意見調整や目的をブラさすことなくオフィス移転を成功に導くためには、経営者を中心に社内外で協力しながら、プロジェクトを推進する必要があります。経営者自ら指揮を執ることもあると思いますが、信頼できる社員を担当者にアサインすることができたなら、オフィスという場がその会社にとって生産性の高い場所になる可能性は高まるはずです。

そのためにも、プロジェクトの推進リーダーを選定し、移転に関する作業の全体像の把握をしてもらいましょう。

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